学会場は、古い館の中だった
学会で日本語で話しかけられた。どう見ても外人さん。話を聞いてみると、東京
大学で学位を取ったらしい。なるほど。
さて、彼は私の発表のblind reviewをしたらしく、内容をよく知っていた。あり
がたいことに面白いと思ってくれたらしく、ホームページをチェックしたから顔
を憶えていたのだとい うようなことを話していた。
彼は心理的なアプローチというのにも興味があったようで、東大の高橋研などに
も出入りしていたようだ。私の研究を「日本人らしい」研究だと言って いた。
こういう心理的な研究は、彼の勤務するベルギーなどではまったく理解されな
かったらしい。そう言われれば、Colour & Light in Architectureと題されたカ
ンファレンスでも、多くは歴史や伝統や現状の紹介である。皆、自分が集めた色
や照明に特徴のある画像を並べて、 それをだらだらと説明するだけだ。主張は
全体的で抽象的なこと。なきがごとしと思えることも多い。
照明系のいくつかの例外を除き、そういったアプローチは出てこないのである。
以前、IAPSのカンファレンスに参加したときも感じたことだが、彼らは自分の感
じたことを主張するけれども、客観性などはあまり気にしないよう だ。これは
デザインをやっている人間に共通と括ることができるのかもしれないが、色彩調
和論を作るのは西洋人、検証するのは東洋人という傾向もあ るから、やはり文
化差も根強いのだろう。
彼らはエキスパートであり、検証など必要ないと思っているのではないか。そう
考えるとコルビュジェの振る舞いの意味もわかる気がする。
そういうアプローチと、ユーザーの情報を取り入れていこうという心理系のアプ
ローチはだいぶ異なる。日本にいたからこそ、そういうことに sympathyを感じ
てくれたのだと思う。
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