2010年11月11日木曜日

旅日記<8> - ハイテックの末路 ロイズ

ロジャースのロイズ・オブ・ロンドンは、ガーキンこと30 St.Mary Axeの向かい
にある。
「ハイテック」というのは、この場合、表現でしかない。建築の技術がハイテッ
クなのではなくて、表現がハイテックなのである。
 
未来都市の画というのをいろいろな人が考えた。だが、我々が思い描くプロトタ
イプは、割に固定しているのではないか。あまり建物らしくない(= 直方体で
はない)高層の建物が建ち並び、その隙間をハイウェイが張り巡らされている。
そんなもの。
でも、人々に「どんな生活がしたいですか?」と訊ねたときに返ってくるのは、
もっと庶民的だったり、リゾートだったり、郊外だったり、田舎だった りのプ
ロトタイプの方ではなかろうか。
 
ハイテックというのも、それが技術革新と結びついて明るい未来を暗示していた
ときは意味があったのだろうが、表現だけの世界になってしまうと、好 き嫌い
の話になってしまう。
...で、私は「最低!」と思った。
何しろ、汚らしいのだ。その何割かは暗鬱な寒空のせいであるにしても。
 
ロジャースは、素材もしくは素材の加工、もしくは素材の色味の選択を間違った
と思う。

※でも、写真映りはそこまで悪くはないねえ。映像として流布されると、違う印
象を持つかもねえ。

旅日記<7> - ガーキンとグレートコート

画像が横に並ぶといいのだが...。
 
同僚のT先生とヘルシンキにある教会の話をしていたときのこと。見に行くのな
ら、冬だろうと言われた。冬が厳しいからこそ、その期間が長いからこ そ、そ
の時期に行くべきだ。そうでないと本当の姿がわからない。
 
ガラスのビルが増えて、それでいいのかという話で行くと、今日のようなどんよ
りとした小雨交じりの天気の時こそ、その真価を問う絶好の機会と見な せなく
もない。
 
ガーキンは、灰色だった。何しろ一面の曇り空で、それを映し出してしまうのだ
から、道理なのだ。一方、グレートコートの方は明るい。空が灰色では なく明
るい白に感じられるようだ。
反射と透過。そこには、これだけの可能性の違いがある。
 
私は、ひとまずグレートコートの方を押したい。この冬の寒空の中を来訪する者
達に、安らぎを与えるであろうから。

旅日記<6> - ロンドンもガラスが増えた

バスはルートも到着時間も良くわからないので、地下鉄で移動。それでひょいと
地上に出ると、急に建物に囲まれる。
普通のことのようだが、それが別種の建物だと驚いたりする。
 
宿の近くはイギリスのオーソドックスなイメージ。少し陰鬱なレンガの建物が並
ぶ。赤い2階建てバスがお似合いだ。
それが、セントポール寺院の界隈、「City」になるとガラスが増える。本当にガ
ラス張りの建物が多い。円蓋の上の展望台から眺めてもそれは分か る。ロンド
ンの人達も、光が欲しいのだなあと思ってしまう。
 
オフィス街がガラスの建築になって行くのは、どこも共通なのだろうか。
オフィスだけがガラスになっていくのは、一見、不思議な現象だ。だって、商品
は自然な光で眺めたいし、いい気分で購入を楽しみたいような気がす る。住 宅
なら、もったいないから自然の光が入った方がいい気がする。オフィスは映り込
みがあるからずっとブラインドを下ろしていた時期もあった。なの に、なぜガ
ラス!?
 
私が思いつくのは、働くというのはやはり大変なことなので、みんな息抜きがし
たいのかなということ。外の風景って、見えるとほっとするじゃな い!?
光は何とかすることにして、風景が眺めたいのかなと。
 
みなさん、どう思います?

旅日記 <5> -「わさび」で元気が出た

相変わらず時差ぼけである。時差ぼけのままの方が、帰国したときいいかもしれ
ない。今回は1週間の滞在だから、ぼちぼちと付き合うことにする。
 
数万円を払って立ち寄ったのに、ロンドンは朝から雨。今作成している建築環境
工学の本に掲載する写真を撮ろうとやってきたのに、これでは意味がな い。
まあ、屋内でということでセントポール寺院に入ってみた。
ここはささやきの回廊が有名。レンが設計した円蓋が本当に円なので、直径の端
と端に人がいると、ささやいただけでも反対側の人に音が伝わるという ことら
しい。(えー、今考えてみたけど、よくわかりません。円だとなぜいいのか?)
 
円蓋のてっぺんまで登れるのだが、そこからの眺めも雨。「ガーキン」も「テー
トモダン」も雨に煙っていた。
 
さて、セントポール寺院の近くに「わさび」という店を見つけた。何と、ちらし
寿司がパックになって売っていた。お昼も近づいてきたし、ちょうどい いと購
入して食した。醤油でなく、チリ系のソースだったので驚いたが、なかなかだった。
昔は、海外では日本食も中華も食べなかったのだが、最近は好きなものを食べよ
うという気になってきている。
少し元気になった。
http://www.wasabi.uk.com/

旅日記<4> - おんぼろ宿

吐水口の不思議...というほどでもないか
 
外国に行くときは、ネットで宿を予約している。面倒だからいつもHotel clubと
いうサイトを使っている。相場より安いようなことが書いてあるが、定価が高す
ぎるだけのこともあるから、70%offだってあてにならない。
 
ロンドンは宿が高い。安宿が集まっているパディントンあたりにと、探したのが
Orchard hotel London。ネットでは良さそうだったが、1万円の割にはおんぼろ
だった。テレビとドライヤー以外に装備はないし、気温7℃なのに暖房は入らな
いし(夜 は止まるらしい)、 シャワーのユニットは新しかったが、石けん受け
はない。冷たいタイルに敷く足ふきマットも用意されていなかった。トイレの水
はちょろっとしか出ず、うまく 流れない。一泊8,000円くらいまでしか出さな私
が出合った中でも最低の部類だ。
これで1万円は高い。ポンドが180円だった頃は、これが1万5千円以上なの
か。納得いかない。
 
さて、私は国の工業技術の程度を見るのに、洗面台の栓がきっちりしているかど
うかというのがいい指標だと考えている。日本はまず問題ない。世界に 誇る
TOTO、INAXの技術はピカイチ。ロンドンは?
85点くらい。下着や靴下の洗濯にまったく問題はなかった。
 
ただ、その時に驚いたのが、お湯と水の出方。
吐水口からお湯と水が2つに分かれて出てくるのは初めて見た。竜頭の滝か!?

旅日記<3> - ターナー

オランダを訪れたとき、子供達の顔を見て、「なるほど、フランドル絵画そっく
りだ。」と思ったことがある。
フランドル絵画に登場する子どもたちは、金髪で、肌が透き通るように白くて、
頬がほんのり赤みを帯びている。「なんて愛らしい子供を描くのだろ う。」と
思っていたのだが、別にフランドルの画家達が創意工夫したのでなくて、愛らし
い対象をそのまま描いたのらしいと気づいたわけだ。
 
HeathlowからPaddingtonへ向かう列車は、地平線すれすれの太陽が映し出す光景
の中を走っていた。その時撮影したのが、この写真 である。
「ターナーじゃん。」
印象派の先駆けとも言われるターナー。「印象・日の出」などの絵を見ると、ど
うしてこんなに抽象的な表現を思いついたのだろう、と、それが疑問 だったの
だが、何のことはない、冬が押し迫ったロンドンでは、日の出や夕暮れ時に、こ
ういう風景が現れるのだな。
 
創造性というのは、個人の中から湧き上がってくるものではなくて、そこにある
ものから選び取ってくるものなのかもしれない。そんなことを思った。

P.S.
後日、テートギャラリーで見たターナーは、もっと色鮮やかだった。そのあたり
は誇張が入っているかもね!?

旅日記<2> - 映画は趣味じゃない

個人用の小さな画面ーロード中ちょっとぼやけ気味
 
機内で映画を見た。「Pirates of Caribbean 3」
本当に見ただけ。ほとんど英語はわからなかった。
 
さて、見ていて感じたのが、映画っていうのは非現実で気を奪い、誇張してわか
りやすくしているのだな、ということ。
普段ならあり得ないものを、映像という手段で、「さもありなん。」というよう
に見せる。俳優は、こんなに顔を動かさないだろうと言うくらい表情豊 かに
て、場を作る。
アクション物の娯楽映画だからかもしれないが、そういうことを強く感じた。
 
私はそれが駄目なのだよね〜。誇張されているところを現実と遊離している取っ
てしまうことが多くて、それで映画が嫌いなのだよね。
 
でも、学生達には映画好きも多いから、時に話題作りのつもりで勉強してみるか
と、見たのでした。

おまけ。
もうひとつ感じたのが、個別に見るという形態。一人一人が違う物を見て聞いて
いる。昔は、一斉に手前のモニターを眺めたものだが。それが懐かしく 感じら
れた。
今の人は、そういう感覚、まったくないのかしらん。