2011年6月6日月曜日

ラ・トゥーレットの朝

時差ぼけと歩き回った疲れで、起きる気になったのは7時半を廻った頃だった。
南側の廊下から眺めると、正面に礼拝堂の建物が見える。中で柏手を打ってみた
ら、優に5秒は超える残響音。これも、コンクリート打ち放しの直方体 がなせ
る技であろう。
それを外から眺めるのであるから、巨大な壁が正面に見えることになる。「あ
あ、コルビュジェは壁と向き合う生活をさせたかったのだな。」と、突然 気づ
いた。

そう思って昨夕歩き回った棟内を思い返せば、廊下の突き当たりの窓は覆いのよ
うなコンクリートの板が塞いでおり、ロの字型の棟に囲まれた中庭を走 る十字
型の通路の一部が斜めに持ち上がっているのだが、これはわざと階段を出たとこ
ろで目に入るように組み込んだかのようだ。小礼拝堂の下あたり の通路もしか
り。窓の正面に壁もしくは壁に類するものが執拗に配置されている。

個室の机正面の壁は、吹きつけが剥がされている。瞑想には不向きであるという
訴えがあったのだそうだ。それも壁に向き合うことだ。
人は、壁と向き合うことで、内省し、考えるのだろう。
鳥のさえずりが聞こえる静けさの中で。

I worked for what men need more than everything, silence and peace.
Le Corbusier

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