先日、日野市役所の方の話を伺う機会に恵まれた。
日野市は、日野自動車、コニカ・ミノルタなど、多くの工場を抱えている。その
一つ、ビクター八王子工場の売却が決まったとの報道がなされたようだ。
工場が落とす税金は、市にとって貴重な財源だ。それが失われる。そして、住宅
ができれば上下水道を整備して学校を作ることになり税金が使われる。ショッピ
ングセンターができれば、道路や交通網の整備に金がかかり、周辺住民との調整
に頭を悩ませる。グローバル化に伴う国内産業の空洞化は、そういった問題をも
たらす。
そうなって、お金が足りなくなってくる。市として、その後を考えなければなら
ないという話の中で出てきたのが、3世代の街づくりだ。
東京で顕著だが、コミュニティが希薄な地域では、コミュニティが担ってきた機
能が産業化したり、行政の負担になったりしてきた。たとえば、子育てはおばあ
ちゃんやお母さんや近所の年長の子供が担っていたのが、保育園や幼稚園が担当
する部分が増えてきている。食事の提供しかり、服の提供しかり、介護問題しかり。
そう、家政学部が生活科学部になったというのは、家事を合理化するという役割
から、家庭の外部化に伴って生まれた産業に人材を供給するという役割に内容を
変えたということだろう。
3世代の街づくりというのは、それをもう一度家庭やコミュニティに戻していこ
うという発想だ。親と子の4人家族。昔標準世帯と呼ばれた家族形態は2世代。日
野には団地も多いが、それは2世代のための空間だ。3世代が暮らせる環境にでき
れば、子が親の介護をするというような可能性が今より広がるだろう。そういう
ことを考えていかないといけない。
財政の将来から出てきた発想かもしれないが、家族が近くに住めるのは悪くな
い。生まれ育った街に老後まで居るのも悪くない。そうすればコミュニティも育
つかもしれない。瓢箪から駒の可能性もある。そういうお話しだった。
私は、よいキーワードだと思う。
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