実は前々回の話題は、昨日の1年生向け授業の予習だった。
前々回書いたのは、自分で考えて改善していける人物が求められるということ
だった。講師の先生がどうしてそういう話をされたのか、今ひとつ理解できてい
なかったのだが、今回、「急速なIT化の影響」という話が出て、合点がいった。
みんなネットで服を買うようになった。デパートの売り上げが落ち、必要とされ
る店員は減った。みんなネットで旅行商品を買うようになった。駅前の旅行代理
店の店員は減った。銀行のオンライン化が進んだ。銀行の窓口業務を行う行員は
減った。
そして、単純な製造業は能力の差が出にくいから、物価が安く、低賃金でも生活
に困らない発展途上国の人々との競争では勝ち目がない。
この2つの事実から、単純な製造業と一般的な接客販売業の求人が減ることがわ
かる。そうすると、残るのは、ルーチンワークではなく、考えることが必須の職
業だ。と、そういうことなのだ。
それで思い出したのが、15年前、1年生に私が話していたこと。以下のようなメ
モが残っている。
○プロ化の社会
−機械を使える人
−機械を作れる人
−機械にできないことができる人
そのときは、IT化がこんなに進むとは思っていなかったから、私の頭にあったの
は、「何でも一人でできる世の中になってきたから、単純作業はなくなるだろ
う。」という予測だった。
私が修士の時は、ワープロソフトで文章を書き、大型計算機で出力したグラフを
トレースして図を清書し、写真を切り取って、1枚の紙に貼り合わせてコピー
し、論文発表のレジュメを作成した。それが、博士の時には、一つのパソコンで
全部できるようになっていた。そうなると、清書する人も、切り取る人もコピー
する人もいらなくなる。下働きの仕事はなくなっていく。そういう読みである。
機械に取って代わられることのない仕事は何か。それを考えたら、この3つに
なった。
時代は変わったが、変革の方向性は変わっていないらしい。
そうだとすれば、一部の人だけが儲かる仕組みに向かいつつあるようにも見える。
「国民皆中流」のよき時代は、すでに過去なのかも知れない。
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