2011年9月5日月曜日

書評:ゲーム理論入門

天谷研一:ゲーム理論入門、日本能率協会マネジメントセンター

家の近くの大学図書館で見つけて。
この本を手に取ったのは、環境心理学も、環境を直接扱うばかりでなく、別の研
究手段を持つべきだという思いから。人と環境の関わりは、何も生の環 境を対
象とするだけが能ではないし、実験的にやることでクリアになりやすいならそれ
もありというスタンス。ゲーム理論に、そのヒントが隠されてい ないかと思っ
たわけです。

ナッシュ均衡というひとつの考え方が説明に寄与しているとの見方。
合理的な推論、話し合い・提案、試行錯誤、どれでも最終的にはナッシュ均衡に
なるはず。こういうバックボーンがあるのが強み。

ネットワーク外部性(=利用者が多いほど価値が高まるという性質)、
ホテリングの立地ゲーム(=2つの店は、全体の1/3ずつの場所ではなく、中央
に2軒集まるのが合理的)、
脅しのゲーム(=「他店より1円でも高い場合には安くします。」は、牽制し
あって高価格を維持するメカニズムの一つetc.)、
不完備情報のゲーム(=相手の情報がわからないときは、どうなるか。封筒の交
換ゲームの話は面白かったが、現実はちょっと違うか。)
勝者の呪い(=オークションで勝つということは、市場価値より高い金額を払っ
たことになる)
...などなど、面白いことが書いてあった。

 ただ、読後感としては、一般常識を数学に変換したものが多いという印象も拭
えなかった。これは社会科学全般の課題だとも思うが。


 

0 件のコメント:

コメントを投稿