売店が片付けを始める頃、龍安寺を訪れた。
靴箱に靴をしまい、ふっと振り返ると石庭であった。
「こんなに小さいのか。」
これが第一印象である。
広角レンズで捉えた印象が強かったのだろう。よく考えてみれば、東福寺のもの
などと比較しても遜色ない大きさであるのに、そう感じた。
「15の石を、すべて眺められるポイントはない。」
そう言われているので、縁側を端から端まで動きながら確認した。すると、奥の
端に近いあたりに15個を臨むことが可能なポイントがあった。15個 を確認する
ことができるのは天上からのみ。石庭は、人の小ささを示す公案なのかも知れぬ。
謂われは大事だが、確認するまで納得しない。そういう者は公案を考える者には
邪魔だろう。
縁側に腰掛けていると、隣の大学生とおぼしき4人組が謎かけをやっていた。
「龍安寺石庭と掛けて、しばらくぶりで会った恋人同士と解く。」
...その心は?...
「水入らず。」
なかなかにうまいではないか。日本の将来も安泰だ。
その程度で。いやいや、「吾、只、足るを知る。」のつくばいを見れば、そのよ
うな横槍を入れる気も起きまい。
嵐山電鉄ののんびりした風景に揺られながら、宿に戻った。
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