2009年9月30日水曜日

デザインについて明らかにすること(問題の設定)

ドラクロワ
ヴィーナスの肌を泥で描いて見せよう。もし、周囲を私の好きにしていいのなら。

以前、デザイン系の大学院の先生に、「青は冷たいと言うが、暖かい青だってデザインできる。デザインは何でもできるんだ。それを冷たいと言ってどうするんだ。」と学生が責められている現場に居合わせたことがある。SD法で評価してもらった結果だから、青の評価は冷たいということになる訳だが、偉い先生にえらい剣幕で言われたので、学生は答えに窮していた。
ドラクロワの言も、同様のことを言い表している。人間は周囲との比較で色を感じるのだとすれば、泥に輝きを感じさせることも可能だと言いたいのだろう。同様に、周囲を冷たい青にすれば、視対象として暖かい青と感じさせることも可能だと言えなくはない。暗めの紺の中に、少し緑味に寄った明るい青を配せば、その青は温かみを帯びるだろうから。
 
SD法で単色の印象を測る、もしくは千鳥格子のような画面全体に拡がった図柄で印象を測れば、青は冷たい。青に温かみを与えるには、図柄と色の組み合わせを慎重に選ぶ必要がある。
 
私は、「研究はデザインのすべてを明らかにすることはできない。ヒントを提供できるくらいだ。」と、そう話すことが多い。件の学生の研究も、ある限定された範囲では現象を表しているはずだ。それなのに、えらい剣幕で言われてしまうのは、ヒントにならないと思われてしまったからだと思う。だから、それが何のヒントになるのか。研究をするときには、そこをよく考えて問題設定をする必要がある。そう思う。

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