大学院時代の同級生から、「素敵なイベントがある」と紹介されたのが、9/2&4
に開催された標記パフォーマンスである。丹下健三の代表作の一つ「東京カテド
ラル聖マリア大聖堂」を舞台に、LED照明によるパフォーマンスをパイプオルガ
ンの演奏と共に行うというものだった。ちょうど都心で用があったので、帰りに
寄ってみることにした。
地下聖堂で催されていた展示を見終わった頃には外は闇。聖堂内部に入ると、パ
イプオルガンの音楽が静かに流れている。パフレットによるとバッハのゴルトベ
ルグ変奏曲を基にしたカノンなのだそう。メロディアスではなく、静かに音の中
に身をゆだねる感じの音空間。
視空間はといえば、HPシェルの壁際に配されたLED照明が明るくなったり暗く
なったりしながら、壁を照らし出す。シェルの曲面は、単純でもなく複雑でもな
い、ちょうどよいキャンバス。同じように照明しても、部位によって少しずつ光
の拡がりが違う。シェルの接合部のラインも、中間的な複雑さのラインを作って
いたように思う。
たまに点滅したり、光の移動によって動きを感じさせる場面もあったのだが、そ
れはあまり感心しなかった。それより、まったくの闇になる瞬間に意味があっ
た。襲われるわけではない。周りに人がいることもわかっている。それでも感じ
る畏怖と孤独。久しぶりに味わった気がする。
そういう中で十字架だけが照らされたとき、十字架の持つデザイン性というのを
感じた。シンプルでありながら、単調ではない。すばらしいデザインの素材だ
と、改めて感じ入った。
今日は、「単純と複雑の間」という話題に終始した。
PS.
地下聖堂での展示に図面があったのだが、あんなに簡潔で美しい平面図は初め
て見た。
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