2009年8月16日日曜日

土門拳記念館で考えたこと (酒田にて No.1)

ここ数年、帰省の折り、大家族で2・3泊の旅行に出ている。今年は新潟から山
形を巡った。その途中で寄った酒田のことを書いてみる。第1報は土門拳記念館
で考えたこと。
 
私は谷口吉生との相性が良くない。猪熊弦一郎現代美術館にも行ったことがある
が、さほどの感慨は湧かなかった。この記念館も心に染み入っては来なかった。
 
開催中の三人三様展は、勅使河原蒼風・土門拳・亀倉雄策という昭和を代表する
アーティストを紹介する展覧会だから、そちらの方が気になった。
 
土門拳の白黒写真を見て感じたこと。
 「昭和30年頃の服は白黒写真に向いているな。」
たぶん、派手な色遣いの服は少なかったのではなかろうか。詰め襟は黒だし、そ
ういった服が周囲とコントラストを帯びている。それが子供達の動きや表情と相
まって生き生きとした写真となっている。昭和の服は明度差がコントラストを生
み出しており、それが写真にメリハリを与えていると見た。
 
勅使河原蒼風の「私の花」シリーズを見て感じたこと。
 「花は土を背景にすると活きる。」
これは日本のさまざまな場所で勅使河原蒼風が花を生け、土門拳が撮影したもの
だが、どうも西洋風の背景では収まりが悪い。やはり古寺・茶室などで撮影され
たものの方が味わいがある。
 
亀倉雄策のポスターを見て感じたこと。
 「シンプルが認められた時代があったのだな。」
今見ると、少しシンプルすぎるように思う。バウハウスの作品などもそうだが、
そぎ落としすぎた気がする。それがもてはやされたのがモダニズムなのだろう。
そういったデザインにも良さがあるが、私の感性は、もう少し、ほんの少し面白
みを付け足して欲しいと感じる。彼の代表作である仏陀のポスター、東京オリン
ピックのポスターは、生け花、水泳選手の写真が使われている。それがその面白
みを生んでいるのだと思う。グラフィックのみの作品より好印象が残った。

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