2009年4月30日木曜日

ガウディ抜き書き

ガウディ 建築家の見た夢
「偉大なる書物、つねに参照し、努力を傾けて読むべき書物、それは自然という
名の書物である。
自然がわれわれに見せてくれるもので、色がついていないものはひとつもない。
植物も地質も地形も動物も、みな多かれ少なかれ色彩によって生命をあたえら
れ、引き立てられている。だからすべての建築物には、色をつけなければならな
い。」
...ずいぶん前に書き留めたであろう、こんな抜き書きが見つかった。

3月にガウディを見てきたばかりだが、この文で強調されるほどに「色」という
ものが表に出ている印象はない。造形自体のインパクトが強いからか。同時期に
活躍したモデルニスモの建築家が鮮やかな色を用いるからそれほど目立たないのか。
彼のデザインにはグエル公園のテラスのようにモザイクタイルで鮮やかな色調を
示すものもあるが、カサ・バトリョだってファサードが印象的だという意見はあ
るだろうが、色の印象がそんなに強くはないのだ。全体には石や漆喰や木や煉瓦
そのものの色が用いられているのも一因だろう。それより壁と天井が連続した造
形、直線のないうねった造形の方が印象に残る。その彼がこんなことを言ってい
るのか。うーん。

きっと、時代へのアンチテーゼなのだろう。コルビュジェの白一色の建築、コン
クリートの無装飾。そういったもので形作られる時代に対抗するには、心ならず
も、こういった理論武装が必要だったということではないか。

自然に学ぶにしても、どこに着目するかによって答えは変わってくる。ガウディ
が自然の造形に学んだほどには自然の色彩を研究したとは思えない。「色をつけ
なければならない。」と本当に話したのであれば、自然の素材の色をそのまま使
用するという考えはなかったのだなあと思う程度である。
素材の色をそのまま使用する自然な色合いを捨てるならば、どんな色を使用する
時、自然に学んだカラーデザインだと言えるのだろうか。

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