2011年6月6日月曜日

ラ・トゥーレットの夜

夜の映像はよく見えないでしょうが、想像してください
 
La Touretteと言えば、礼拝堂のカラフルな光が、そしてクセナキスによるファ
サードが名高いから、当然、昼間の建築であると思われがちだが、宿泊し て、
まだ真っ暗なうちに目覚めて眺めた廊下からの景色が、夜の建築でもあることを
知らしめてくれた。
 
昼と夜の風景が逆転することは、ちょっと想像してみればわかる。夜になると、
昼間は暗かった窓から明かりが漏れ、明るかった壁面は闇となる。夜は 建物の
輪郭を曖昧にするが、窓の存在を明瞭にする。
 
コルビュジェは、個室の並ぶ4・5階に水平に伸びる線のような窓を作った。そ
れが見える。コルビュジェは、モンドリアンの抽象絵画のような窓を3 階に
作った。夜はそれがシルエットになって見える。さらにコルビュジェは、縦に伸
びる階段室に小さな四角い穴を空けた。そこが明るいポイントにな る。
 
最近のガラスで覆われた建築を見慣れた我々からすると、コルビュジェの建築
は、まだまだ壁が多い。ガラスの建築は、中がなんでも見えてしまうた め、生
活があふれ、つまらない。La Touretteの内側は、総じて廊下であるから、生活
は見えない。光だけが風景を織りなす。

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