2011年6月19日日曜日

スイスの歴史「命をお金に換える」から その1

ルツェルンの名所の一つ「瀕死のライオン」のレリーフは、ブルボン王朝の最
期、ルイ16世とマリー・アントワネットを守るために殉死したスイス傭 兵を記
念したモニュメントである。スイスの傭兵は任務に忠実で信頼が置けるという評
判を率直に表している。
 
地球の歩き方にはこう書いてあった。
「観光や精密機械などの産業がなかった当時、優秀な傭兵は貴重な輸出品だった
のだ。」
この記述が私にはショックだった。産業がないと、人の命もお金に換える必要が
あるのかと。
 
農業は一家族しか養えない。だから土地は長男が相続して、次男以下はどこかに
出かけていくことになる。産業革命もそれで成立したのだ。職を求めて いる人
がたくさんいたから、過酷な労働条件でも働かざるを得なかった。
 
往きの飛行機で読んだ塩野七生さんの本に、ヨーロッパの人が移民に対して怒っ
ているのは、そうやって築きあげて来た生活や権利を、努力もしないで 享受し
ようとするからだという意のことが書いてあった。移民の問題は、その人たちに
享受させてあげようとすると、これまでの生活を享受できなくな るというジレ
ンマにある。お金は無尽蔵にあるわけではない。
 
産業を興すというのは大事なことだと感じ、さて、それではこれからどうすれば
いいかと考えると...続く。

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